これは2012年の中国でのことです。
今の中国では、事情もかなり変化しているだろうと思います。
腎臓胆石になって治療費が高額で家賃も払えなくなった
彼女は当時20歳そこそこ。
田舎から一人で広州の都会に出てきて働いていました。
2012年当時のお給料が 700元。
(1万4千円以下ですね)
そのお給料では生活もできません。
実家の親から仕送りをしてもらいながら、必死に働いていました。
ところがある日、腎臓胆石になってしまい、治療費が高額なためお金がなくなってしまい、家賃が払えなくなって、大家さんから追い出されてしまいました。
なんと、荷物も全部捨てられてしまったようです。大切にしていた大きな熊のぬいぐるみも失っていました。
とりあえず宿を提供
泊まる所もなく、お金もなく途方にくれて泣きじゃくっていた彼女。
息子とその友人2人でシェアしていたアパートに保護したそうです。
宿を提供して、歯ブラシなどの身の回り品を買ってあげて、毎日の食事もお世話してあげたそうです。
当時息子は、中国人の友人2人と、そのうちのひとりのお母さまとの4人でアパートをシェアしていました。そこに彼女を泊めてあげたんですね。
彼女はしばらくしてから、いったん田舎に帰って、落ち着いてから再度都会に来て再就職しました。数年後のお給料は3500元。
他の中国人もみんなお給料が上がっています。
現在の彼女は生活も落ち着いて、英語の勉強にも精をだし、ペットに犬も飼うなど、とても豊かになっています。短い期間で中国の人々のお給料はとっても高くなりました。
日本のドラマ『家なき子』
その後、私が中国からの留学生に日本語を教えていたとき、ふっと彼女の話を思い出しました。教材として、『家なき子』を扱った時に、息子から聞いていた彼女の苦労を思い出したのです。
留学生たちは日本のドラマにとても興味を持って、とくに『家なき子』に夢中になっていました。
『家なき子』を見た感想を、留学生たちは次のように書いてくれました。
中国は社会主義国だから国が守ってくれる。
こんな困ってる子供は国がほおっておかない。
中国ではありえない話。
でも現実には、息子の隣で病気になったために路頭に迷った若い女の子がいた・・・。
その原因は医療費の高さ。
病気になって家を失うほどの高額医療費がかかる中国。日本では、腎臓胆石になったから、家賃も払えなくなるほどの医療費がかかって路頭に迷うということなど考えられません。日本の国民皆保険制度は、すばらしい。国民皆保険制度は、なくなってほしくない制度です。